自分のペースで造る 愛着のわく古民家での暮らし
屋村靖子さんは埼玉県出身。東日本大震災がきっかけで、地方移住を考えるようになったという。そして“良い人に出会えたことが決め手”となり、2016年に新潟県県糸魚川市の集落の築40年余りの戸建て住宅に移住した。すでに結婚していたが、靖子さんがひと足早く移住して、一人でDIYを始めたという。
「元々、古いもの、昔から受け継がれているものが好きなので、使えないところは自分のペースで気長に直せばいいと思っていました」

最大のリフォームポイントは、6畳・8畳の部屋とキッチンの境を取り払い、ワンルームのLDKにしたことだ。キッチンは対面式にした。床には断熱材を敷いて底上げ、その上に床材を張ることにした。寒い地方なので防寒対策は必須だが、ここで失敗をしたそうだ。
イレクターパイプと木材で靴箱用の棚を造った。| 右)畳の部屋をフローリングにして、丸太をテ
ーブルに変えた。
「フローリング用の床材と思って大量購入した板が、14畳分張り替えたところで、外壁に使う羽目板だと気づいて、全部やり直しになりました」
しかし、羽目板は別の部分で再利用することになった。玄関の壁に打ち付けて靴箱代わりの棚を造ったり、トイレの壁に使ったり。まさにDIYならではの工夫で乗り切った。
「DIYはここをどうしたら良いかと、自分で考える機会を与えられるのが魅力です。自分で考えて出来上がった家や空間には愛着が湧きます」
床材は無垢材、壁は漆喰を使用するなど、自然素材にこだわっている。部屋には設えも含めて、人に優しい、温かな雰囲気があふれている。
【BEFORE】 【AFTER】
以前は和室で、仏間と押し入れがあったところ。仕切りの壁を取り払い、仏間の台を使ってベンチにリフォームした。ベンチの下は収納スペースに。ベンチにはカーテンを付けたので、ひとりで「こもれるスペース」になった。腰を掛けたり、寝転がったり、使い方は自由だ。家の中の非日常の空間として利用している。
現在では旦那さんの祥太さんも合流して、2人でDIYを楽しむ日々。「考えすぎない、無理しない、こだわり過ぎないのが私のこだわり。長くDIYを楽しむコツかもしれません。これからも二人で気長に、気になったところを直していきたいです」