目指したのはオンリーワン!
築50年の民家をスタジオに改装
フォトグラファーとして活躍するむかのけんじさんがDIYを始めたのは2017年のこと。自身の生業でもある写真をテーマに、情報やコンテンツを発信できる場を築きたいと思ったことがきっかけだった。
「フォトグラファーの仕事は企画ありきで進むことが多い。今後はコンテンツに沿って動くだけではなく、自らコンテンツを発信する必要性を感じていました。そこで地域コミュニティを巻き込んだ様々なテーマを発信できる、基地のようなスタジオを造りたいと考えました」
むかのさんが“基地”に選んだのは、実家が所有する築50年の民家。民家といってもほとんど物置で、建屋はボロボロ。費用を抑えるべく、大工さんにアドバイスを受けながらのDIYがスタートした。
しかし、天井を剥がせば大量のチリが落ちてきて大変なことになったり、誰も住んでいないと思いきや、ヤモリが大勢〝お住まいになられていた〟など想定外のことが盛りだくさん。

「建物の歪みがひどく、寸法出しも非常に難しかったです。行き当たりばったりのデザインになってしまった部分もあります。本当に何度も心が折れそうになりました(笑)」
そして紆余曲折を経ながらも、当初の姿からは想像できないほどスタイリッシュなスタジオが完成した。
むかのさんによるとまだまだ改装中とのことだが、被写体が活きるよう内装はいたってシンプルで、白地に緑が映える清潔感のあるスタジオに仕上がった。
床材にはカバザクラの無垢材を使用し、足の裏に心地良い。今後はアトリエやレンタルスタジオといった用途のほか、小規模イベントが開催できるようなコミュニティスペースを目指すという。
「場所造りを通して、モノを造る楽しさに気付けた。モノ造りから得られる充実感は創作活動にも共通するもの。自分と向き合う時間が持てるのも、DIYの魅力ですね」
むかのさんのクリエイティブな発想は、まさにオンリーワンだ。