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海と女、酒をこよなく愛した作家が世界に広めたカクテル
若き日のヘミングウェイは、しばしば諸問題を鉄拳で解決したというほど、血の気たっぷりの男だった。パリやキューバでは居を構え、スペイン、イタリア、アフリカなどでは長旅という形で、生涯のほとんどを外国で暮らしている。異国で数多の恋と4度の結婚を繰り返した。

ヘミングウェイが生涯最もよく通ったのが、キューバの旧市街地にあるレストランバー「フロリディータ」である。そして愛飲したのが『フローズン・ダイキリ』だ。体にこもった熱を一気に拭うような、圧倒的な爽快感。ショートスタイルの強いアルコール。疾走のごとく酔いがまわる飲み心地を『海流のなかの島々』でこう記している。
「飲むほどに粉雪を蹴散らしながら氷河を滑走する心地。6、7、8杯目には、ザイルパーティも組まずに、氷河をスキーで急降下するよう」(『海流のなかの島々』より引用)
実際のところ、彼はフロリディータで12杯ものフローズン・ダイキリを飲んでいたという。しかも、ダブル、砂糖抜きで、である。

1930年代、まだ「ホテル・アンボス・ムンドス」をハバナの定宿にしていた頃から、ヘミングウェイはこの店に通い始めた。家を購入し、3番目の妻と結婚した1940年には本格的にキューバに腰を据え、いっそう足繁く通い詰める。
冷房設備のなかったフロリディータがエアコンを導入すると、店はあたかも彼のサロンとなった。ゲイリー・クーパーやサルトルといった遠来の著名人たちを、ここで迎えたのであった。
奥行きのあるマホガニーの長いカウンターと、10卓ほどのテーブル席を配するフロリディータは、米国「エスクァイア」誌でシンガポールのラッフルズバーや、パリのリッツなどと並ぶ、世界7大バーに認定された。各国からの客たちが求めるのは、やはりフローズン・ダイキリ。その一種のみで、店がまわるほどである。
ヘミングウェイが好んだスタイル“パパ・ダイキリ”
ヘミングウェイが好んだフローズン・ダイキリのスタイルは、「パパ・ダイキリ」と呼ばれる。通常のダイキリの2倍のラム、ライムジュース、グレープフルーツジュース、マラスキーノ、アンゴスチュラビターズを氷とともにミキサーにかけて作る。砂糖は使わない。

ちなみに余談だが、フローズン・ダイキリの元となった「ダイキリ」は、19世紀後半に誕生した。キューバの旧都・サンティアゴ郊外のダイキリ鉱山に赴いたアメリカ人技師が作ったという。ラムカクテルの名作と謳われている。サリンジャー著『ライ麦畑でつかまえて』に主人公が楽しむシーンが登場する。
※【参考文献】『ヘミングウェイの酒』オキ・シロー 著(河出書房新社)、『ベストカクテル』岩松誠志 監修(大泉書店)
取材協力/海老沢忍(SCREW DRIVER) 文/沼由美子 写真/古末拓也
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