ウイスキーの飲み方について、どれくらい知っているだろうか?今や世界中の人々に愛されているウイスキー。しかし、ウイスキーの具体的な定義や名前の由来については、知らない人のほうが多いのではないだろうか。
そこで今回は、そんなウイスキーの詳しい定義や、名前の由来について詳しく解説していく。最後まで読めば、ウイスキーの飲み方について深く理解できた上で、これからの飲酒を最大限に楽しむことができるだろう。
ウイスキーとは?
そもそも、ウイスキーの定義は国によって異なるが、一般的には穀類を原料として木製の樽で貯蔵熟成させたお酒とされている。ここで重要なのは、「木製の樽」を使用しているという点だ。
穀類を原料として製造するお酒といえば、焼酎が挙げられる。一般的に焼酎の色は透明であることが多いが、ウイスキーは長期にわたって木製の樽で熟成させるため、木樽の成分が溶け出して琥珀色になるのだ。またウイスキーは、蒸留を2回行う点も焼酎と異なる。焼酎の蒸留は1回だけで、貯蔵熟成の工程もない。
このように長い時間をかけたウイスキー作りの工程が、独特の味わいや香り、深い色合いを生み出すのである。
気になるウイスキーの歴史については諸説あり、はっきりとした歴史は分かっていない。ただ、ウイスキーの名前の語源は、ゲール語で生命の水という意味の「Uisge-beatha(ウシュクベーハー)」が由来といわれている。そして、時代とともに名前は変化し、現在の「Whiskey」になったのだ。
ウイスキーの「シングル」「ダブル」「ジガー」とは
ウイスキーのサイズについて紹介しよう。ウイスキーを注文する際、シングルやダブルなどとサイズを聞かれることが多々あるが、それぞれの具体的な量をご存知だろうか。
ウイスキーのサイズには、シングル・ダブル・シガーの3種類がある。シングルは約30ml、ダブルは約60ml、シガーは約45mlだ。グラスに指を当てて指の本数でサイズを測る方法(ツーフィンガー、スリーフィンガーなどの呼び方がこの方法)などもあるので、量については大体の目安で覚えておくとよいだろう。
ウイスキーの種類
よく耳にするウイスキーの種類は、大きく分けてシングルモルト・グレーン・ブレンデッドの3種がある。それぞれの特徴と飲み方を詳しく見ていこう。
シングルモルトウイスキー
おそらくもっとも耳にすることが多いであろうシングルモルトウイスキー。シングルモルトの「シングル」とは、ひとつの蒸留所だけで作られていることを意味し、「モルトウイスキー」とは、大麦の麦芽だけを原料にしたウイスキーを意味する。日本の有名な銘柄を例に挙げると、「山崎」や「白州」などがこれに該当する。
蒸留所や銘柄によって風味や色合いなど様々な個性があるため、ウイスキー本来の深みを楽しめるストレートがおすすめだ。慣れていない方はハイボールや水割りなどにして、度数を調整するのもよいだろう。
グレーンウイスキー
グレーンウイスキーは、トウモロコシや小麦などを原料とし、連続式蒸留器によって作られる。こちらは一般的に、ブレンド用として作られることが多い。
ちなみに、日本の有名な銘柄である「知多」は、グレーンウイスキーの一種ではあるが、シングルモルトと同様に単一蒸留所で作られている。このようにひとつの蒸留所だけで作られるグレーンウイスキーは、「シングルグレーンウイスキー」と呼ばれる。
グレーンウイスキーは基本的に、度数が低めで口当たりの軽いものが多く、初心者でもストレートで飲みやすいタイプとされている。しかし、ここではあえてハイボールにすることをおすすめしたい。低めの度数をさらに引き下げることで、お酒が苦手な人でもジュース感覚で無理なくウイスキーを楽しめるようになって欲しいからだ。
ブレンデッドウイスキー
シングルモルトウイスキーやグレーンウイスキーを複数集め、ブレンドしたものを「ブレンデッドウイスキー」という。高価なものからお手頃なものまで、幅広いラインナップが特徴だ。日本のウイスキーを例に挙げると、「響」や「角瓶」などがこのブレンデッドウイスキーに分類される。
シングルモルトとグレーンのブレンドというだけあって、非常にバランスのよい味わいが魅力。様々な飲み方に適しているので、一概にどれがおすすめとは言い難い。香り高く度数が控えめのものはストレート、癖が強いものはロックやハイボールなど、銘柄ごとの特徴や個人の好みに合わせた飲み方を選ぶのがベターだろう。
ウイスキーの種類や銘柄についてより詳しく知りたい人は以下の記事もあわせて読んでみてほしい。原料や製法、保存方法など、ウイスキーについての基礎知識も解説している。
ウイスキーの美味しい飲み方
ここからは、ウイスキーの美味しい飲み方について見ていこう。居酒屋などのカジュアルな店ではハイボールとして親しまれているウイスキー。
少しおしゃれなバーなどに行くと、ロックで飲む方が多い印象がある。もちろん、それ以外にも様々な飲み方があるので、ぜひ参考にして欲しい。
ストレート
ウイスキーの美味しい飲み方といえば、まずは「ストレート」だ。ウイスキーをストレートで楽しむときには、チェイサーを用意するのがよいだろう。
チェイサーを用意しておくと、ストレートでも飲みやすくなるだけでなく、チェイサーとウイスキーを交互に楽しむことで口の中をリフレッシュでき、より深くウイスキーの味を堪能することができる。
ハイボール(ソーダ割り)
ウイスキーを料理と一緒に楽しむ場合は、「ハイボール」がおすすめだ。お酒が苦手で、ウイスキー単体の味に少し抵抗がある人でも、ソーダ割りにすればすっきりと飲むことができるだろう。
美味しいハイボールを作るコツは、炭酸水を入れた後にグラスの中を混ぜすぎないこと。最後にレモンの皮などで香りをつけると、よりさわやかな味わいを楽しむことができる。
トワイスアップ(水割り)
「トワイスアップ」とは、常温のウイスキーの水割りを意味し、ウイスキーの香りをより深く感じることができる飲み方だ。グラスにウイスキーと天然水を同量ずつ注ぐだけで完成なので、作り方は非常に簡単。
ウイスキー本来の香りを楽しみたい方向けの飲み方で、通好みの飲み方のひとつともいえる。
オン・ザ・ロックス
ウイスキー好きの方は、「オン・ザ・ロックス」という飲み方もぜひ試して欲しい。ウイスキーのオン・ザ・ロックスを作る際には、大きめの氷を用意するとよいだろう。氷を入れたグラスにウイスキーを注ぐだけで完成だ。
オン・ザ・ロックスでウイスキーを楽しむときには、グラスをしっかりと冷やしておく必要がある。氷を入れてウイスキーを注ぐ前に、氷と水を注いでグラスを冷やし、完全にグラスが冷えたのを確認してから氷と水を捨て、オン・ザ・ロックスを作る方法がおすすめだ。
ハーフロック
「ハーフロック」も非常におすすめの飲み方だ。作り方は、グラスに大きめの氷を入れるところまではオン・ザ・ロックスと同様で、そこからウイスキー、さらにウイスキーと同量の天然水の順に注いでいく。ウイスキーと水を軽く混ぜたら、ハーフロックの完成だ。
水割り
ウイスキーの水割りと聞くと、あまり馴染みのない方も多いのではないだろうか。ハイボールやロックだけでなく、ウイスキーは水割りでも楽しむことが可能だ。
ウイスキーの水割りを作るときには、ウイスキー1に対して水2~2.5ほどの割合にするとよいだろう。
ウイスキーフロート
ロックやハイボール以外にも、新しいウイスキーの飲み方を見つけたい人には、「ウイスキーフロート」もおすすめだ。ウイスキーフロートを作るには、氷・水・ウイスキーの順番でグラスに注いでいく。
ウイスキーと水が完全には混ざりきらない状態にするのがコツだ。ウイスキーが水と氷の上に浮いているように見えるのが、ウイスキーフロートの最大の特徴だ。完全に混ぜずに楽しむことによって、味の変化を存分に堪能できるだろう。
ミスト
水や炭酸で割らずに、ウイスキーをさっぱりと味わいたい人には、「ミスト」という飲み方もおすすめだ。ミストを作るには、まずロックグラスにクラッシュドアイスをたっぷりと入れ、ウイスキーを注ぐ。
マドラーでかき混ぜた後、レモンピールを絞り、そのままグラスの中に入れたら完成だ。
ホットウイスキー
最後に紹介するのは「ホットウイスキー」だ。簡単に説明すると、ホットウイスキーはウイスキーのお湯割りで、ストレートのウイスキーに対して2倍~3倍のお湯を加えたものだ。
ホットウイスキーに馴染みがない人が多いかもしれないが、そのまま飲んでも美味しく楽しむことができ、レモンやシナモンを入れても、普段とは一味違ったウイスキーの味わいを堪能することができるだろう。
ウイスキーを使ったおすすめカクテル
ウイスキーの美味しい飲み方について学んだら、やはり覚えたいのが定番カクテル。第1回スコッチ・ウイスキー・カクテルコンテスト(1986年)の優勝作で、今も世界中から愛されている「キングス・バレイ」をはじめ、好みの味わいに調節しやすい「オールドファッションド」、“カクテルの女王”と称される「マンハッタン」など、ひとつでも知っておくとバーでの注文がスムーズになるだろう。
キングス・バレイ
キングス・バレイは、日本で生まれた色鮮やかなカクテルだ。メロンやマスカットを思わせるその見た目からは、複雑で重厚な味わいと爽やかな香りを楽しめる。
このカクテルを作る際は、必ずシェイカーを利用しよう。シェイカーを利用することで、材料がしっかりと混ざり、美しい緑色を作り上げることができる。
シェイカーの使い方が重要になるため、シェイカーの利用に慣れていない方にはあまりおすすめできない。
【材料】
- スコッチ・ウイスキー:40ml
- ホワイト・キュラソー:10ml
- ライムジュース:10ml
- ブルー・キュラソー:1tsp
オールドファッションド
オールドファッションドは古くからある定番カクテルの1つだ。至ってシンプルなカクテルだが、ウイスキーの深みと角砂糖・フルーツの甘さがマッチし、コクのある重厚な味わいを感じられる。
フルーツや角砂糖を潰しながら自分好みの甘さに調節できるため、「甘いカクテルは苦手」という方にもおすすめ。初心者でも簡単に作れる点も魅力的である。
【材料】
- バーボン・ウイスキー:45ml
- アロマティックビダーズ:2ダッシュ
- 角砂糖:1個
- 好みのフルーツスライス:適量
マンハッタン
「カクテルの女王」として世界的に有名なマンハッタン。真っ赤な色合いが印象的なカクテルであり、シンプルな材料でありながらも深い味わいが口いっぱいに広がる。
数種類の材料を混ぜ合わせるだけなので作り方も簡単。しかし、作り方がシンプルであるがゆえ、微妙な量の違いによって完成度が大きく変化する。「バーテンダー泣かせのカクテル」と言われるほどだ。
【材料】
- ライウイスキー:3/4
- スイートベルモット:1/4
- アロマティックビダーズ:1ダッシュ
スコッチ・コリンズ
スコッチ・コリンズは、さっぱりと爽やかな味わいが楽しめるカクテルだ。ウイスキーのしっかりとした味わいとレモンジュースの酸味がマッチし、スコッチ・コリンズ特有の爽快感が実現する。簡単に手に入る材料ばかりなので、ぜひ自宅で作ってみてほしい。
【材料】
- スコッチ・ウイスキー:60ml
- レモンジュース:20ml
- ソーダ:適量
- 砂糖:2tsp
ミントジュレップ
ミントジュレップはその名前の通り、ミントの爽やかな香りを活かしたカクテルだ。スースーとしたミントの香りと氷の冷たさを感じられる。どちらかと言えば、夏に飲むカクテルとして人気が高い。
【材料】
- バーボン・ウイスキー:60ml
- 砂糖:2tsp
- 水(ソーダ):30ml
- ミント:5枚
以下の記事では、覚えておくと便利な定番カクテルをベース別に紹介している。簡単なレシピも掲載しているため、自宅でカクテル作りにチャレンジしたい、という人にもおすすめだ。
ウイスキーのおすすめ銘柄10選
最後に、ウイスキーのおすすめ銘柄を全部で10通り紹介する。以下の詳細を確認すれば、自分好みのウイスキーがきっと見つかるはずだ。
1.スコッチ|ジョニーウォーカー ブラックラベル 12年
12年以上熟成された多彩な原酒をブレンドして造られた「ジョニーウォーカー ブラックラベル 12年」。確かな技術力によって造られた本銘柄は、スコッチ・ウイスキーらしい豊かな香りとコクのある味わいが楽しめる。
ストレートやロック、ハイボールなど、多彩な飲み方で味の奥深さを堪能できる。カクテルベースとして使用すれば、より濃厚なカクテルが完成する。
- 液体容量:700ml
- アルコール度数:40%
- 参考価格:2,499円
2.スコッチ|シングルモルト ウイスキー ザ マッカラン 12年
「シングルモルト ウイスキー ザ マッカラン 12年」は、シングルモルトのロールスロイスと賞されている銘柄だ。フルーティで豊かな口当たりが特徴で、同時に厳選されたシェリー樽の深みを堪能できる。
また、香りにはバニラとほのかなジンジャーを感じる。味わい、香り、余韻のバランスが素晴らしく、マッカランにしかない上品な飲み心地がある。
- 液体容量:700ml
- アルコール度数:40%
- 参考価格:14,000円
3.スコッチ|デュワーズ ホワイトラベル
「デュワーズ ホワイトラベル」は、ウイスキーの消費大国アメリカにて、シェアNo1を誇るスタンダードなスコッチ・ウイスキーだ。日本での人気も高く、比較的安価で購入できる点が魅力的。
一口飲んだだけでも、華やかなバニラやフルーツの香りが口いっぱいに広がる。甘さと深みのバランスが良いことから、万人受けしやすいウイスキーだと言える。
- 液体容量:700ml
- アルコール度数:40%
- 参考価格:1,503円
4.アメリカン|ジム・ビーム ホワイト
「ジム・ビーム ホワイト」は、プラムやピーチ、バニラを思わせるフルーティな香りが楽しめる。世界的に人気が高く、香ばしいトウモロコシの風味が魅力的。
また、ジム・ビーム ホワイトは厳選された素材のみで造られている。まさにバーボン・ウイスキーの代表格とも言える銘柄だ。
- 液体容量:700ml
- アルコール度数:40%
- 参考価格:2,150円
5.アメリカン|ジャックダニエル ブラック
まろやかでバランスの良い味わいの「ジャックダニエル ブラック」。アメリカを代表するプレミアムウイスキーとして、世界中の人々から愛されている。
本銘柄は1つひとつ丁寧に製造されており、バニラやキャラメルを思わせる独特な香りが楽しめる。見た目もシンプルかつスタイリッシュで魅力的だ。
- 液体容量:700ml
- アルコール度数:40%
- 参考価格:2,217円
6.ジャパニーズ|キリン ウイスキー 富士山麓
続いて、日本を代表するジャパニーズ・ウイスキー「キリン ウイスキー 富士山麓」を紹介する。
ウイスキーの旨み成分を残さず閉じ込める「ノンチルフィルタード製法」が採用されており、上品で華やかな香り、そして贅沢な味わいを楽しめる。ボトルには富士山のイラストが描かれている。
- 液体容量:700ml
- アルコール度数:50%
- 参考価格:5,480円
7.ジャパニーズ|サントリー ウイスキー 角瓶
7つ目に紹介する本銘柄は、ウイスキー特有のクセがなく、爽やかな味わいと香りを満喫できる。角ハイだとひと目で分かるボトルデザイン、揚げ物との相性が抜群のスッキリとした飲み口が素晴らしい。
非常に飲みやすい銘柄であることから、「ウイスキーをいままで飲んだことがない」という方にもおすすめできる。
- 液体容量:700ml
- アルコール度数:40%
- 参考価格:1,813円
8.アイリッシュ|ウイスキー ブラックブッシュ
軽い飲み口と爽やかな後味が特徴的な「ウイスキー ブラックブッシュ」。アイリッシュ・ウイスキーの伝統的な製法「トリプル蒸留」が採用されている。
この製法により、軽やかでフルーティな味わいを実現した。また、ウイスキー特有のスモーキーさが少ないため、普段お酒を飲まない方でも受け入れやすい。
- 液体容量:700ml
- アルコール度数:40%
- 参考価格:2,698円
9.アイリッシュ|ウイスキー タラモア デュー
「ウイスキー タラモア デュー」は、緑色のラベルが印象的なアイリッシュ・ウイスキーだ。大麦の穏やかな風味があり、ほかの銘柄にはない独特な味わいをしている。
香りはそれほど強くないため、ストレートやロックで飲むことをおすすめする。マイルドで飲みやすく、甘さと深いコクを堪能することができる。
- 液体容量:700ml
- アルコール度数:40%
- 参考価格:2,387円
10.カナディアン|カナディアンクラブ
最後に紹介する「カナディアンクラブ」は、スッキリと飲みやすいスムーズな味わいが特徴的なウイスキーだ。ウイスキー特有のクセがなく、カクテルベースやハイボールなど、多彩な楽しみ方がある。ウイスキー初心者にもおすすめできる銘柄だ。
- 液体容量:700ml
- アルコール度数:40%
- 参考価格:1,650円
まとめ
今回は、ウイスキーの概要や美味しい飲み方について紹介したが、楽しんでいただけただろうか。
ウイスキー好きの人はぜひ、ミストやホットウイスキーなどの一風変わった飲み方を試してみて欲しい。きっと新たなウイスキーの楽しみ方が見つかるはずだ。
また、女性とバーを訪れるときは、女性が頼むカクテルに小粋な言葉を添えるのが男性の務め。カクテルに込められた意味を知ることで、いつも飲んでいるものでもこれまでとは違った見方ができるほか、新しいお酒の楽しみ方を知ることにも繋がる。
想いを告げられないときは、言葉の代わりにカクテルを差し出す、というのも小粋で良い。以下の記事では、シチュエーション別のカクテル言葉や誕生酒を詳しく紹介している。バーに訪れる前に、こっそり目を通しておくといいだろう。