《温めることで魅力が増す、燗酒の楽しみ方》

飲みすぎを防いでくれる
アルコールは体内に近い温度で吸収される。冷酒は酔いを感じるまでの間に時間差が生じ飲みすぎる恐れがある。

料理との相性が良い
ぬる燗で刺身や湯葉刺し、上燗で冷奴なども相性抜群。燗酒は食欲をかき立てる飲み方のひとつである。

温度によって味わいが変わる
一般的に、味のしっかりした酒が燗して美味しいとされる。酒が最も輝く温度を見つけるのも燗酒の醍醐味。

口当たりが柔らかい
甘みは35℃で一番強く感じ、それ以上、それ以下でも徐々に弱くなり、”人肌燗”等は旨味を感じやすくなる。

温めることで酒の風味が広がる
香りは温度が上昇すると高くなるため、常温や低温では隠れていた香りまでも感じ取ることができる。
《 燗酒にまつわる豆知識 》
1.燗酒の始まりは平安時代
平安時代の文献に登場したことから、燗酒の始まりはこの時期だとされる。庶民が楽しむようになったのは、江戸時代といわれている。
2.酒を温める方法は4通り
ゆるやかに酒を温める湯煎、手軽さでいえば電子レンジの2種類。その他にもやかん等に酒を直接入れて温める直火燗、蒸し燗がある。
3.燗酒は一年中楽しめる
冬以外にも燗酒は一年を通して楽しめる。冷房で体が冷えきったり、夏バテ気味の体にはぬる燗が体に優しく美味しくいただける。
4.燗酒に向く酒は「酸のしっかりした」酒
一般的に濃醇な酒であったり、生酛(きもと)や山廃(やまはい)といった酸のしっかりとした酒が合い、シャープな辛口の酒も美味しい。
5.酒の飲み方のひとつ「燗冷まし」
一般的に濃醇な酒であったり、生酛(きもと)や山廃(やまはい)といった酸のしっかりとした酒が合い、シャープな辛口の酒も美味しい。
6.燗酒の専門用語もある
燗にして風味がアップした状態を「燗あがり」すると言い、その他にも格段に味が良くなる日本酒のことは「燗映え」すると呼ぶ。
7.小瓶でつけるのもまた良し
手に取りやすい価格と、飲み切られることのほか、瓶をそのまま燗につけることができる。そのままつける場合は栓を開けてからにすること。
8.燗の世話をする専門職人・お燗番
今でも“お燗番”が常駐し、客の様子を見ながら適温の燗をつける店が残っている。おもてなしの極意ともいえる。

《 燗酒の温度と種類の違い 》
55℃ 飛び切り燗
香りはいっそうシャープになり、味わいはパンチの効いた辛口になる。
50℃ 熱燗
香りがシャープになり、キレの良いメリハリのある辛口になる。
45℃ 上燗
引き締まった香りと味わいにボリュームを感じ、バランスも良い。
40℃ ぬる燗
熱くない程度の温度で、穏やかに香り立ち、味わいがソフトに膨らむ。
35℃ 人肌燗
口当たりやわらかく、滑らかな味わいで、米や麹の良い香りがする。
30℃ 日向燗
温度の高さを感じないくらいで、ほのかに香りと味わいが引き立つ。
