書斎とか秘密基地とかいわれるものに共通しているのは、自分の思い通りに作れて、好きなように使えるということ。それなら思いきり自分流で心地よい空間にしたいものだ。ここでは、仕事や趣味に集中できて、リラックスできる書斎作りための効果的な方法を紹介する。
書斎を作る目的を考える
書斎を作る目的とは、書斎で「何をしたいか」ということだ。
とはいえ、持ち帰った仕事をやりたいし読書もしたい、マイクラだって……と漠然とした答えしか出ないかもしれない。そんなときは視点を変えて「どのように過ごしたいか」と考えてみるのもよい。「のんびりしたい」「成長したい」「時間を有効に使いたい」などだ。すると、自分がやりたいことが案外はっきり見えてくる。
目的がはっきりすると必要なものがわかってくるので予算を組みやすい。さらに、何をしたいかを明快に主張すれば、意外と周りの理解も得やすいものである。なぜなら、良好な人間関係を長く続けるにはお互いに一人になる時間があるのはよいことだから。
何をするにしても、心を落ち着けて集中するためには、リラックスできる空間でなくてはならない。集中とリラックスは相反する言葉のように思えるが、実際はリラックスできない空間では集中することもできない。職場のように他からの要因で集中せざるを得ない場合は別として、一人の空間では自分の意志で集中しなくてはならないからである。
集中できる書斎を作るためのポイント
リモートワーカーやフリーランスの人なら特に集中できる環境作りが大切になる。マンションやアパートのミニ書斎でも工夫して環境を整えることはできるので、試してみてほしい。
デスクを窓際において、日差しを差し込むようにする

書斎で仕事をする人はPCを使うことが多いので、どうしても目が疲れやすい。そんなときに窓から遠くを眺められれば、目を休ませることができるだろう。季節を感じることもできるので、窓際のデスクはおすすめである。陽が差し込む書斎は明るくて気分も軽くなるというもの。ただし机上に直射日光があたると目を痛める恐れもあるので、レイアウトの工夫は必須だ。
壁に背を向けて配置をする
怖い映画を見たあとなど、背後が気になることがないだろうか。あれは、人間の本能的な反応で、人間は背後が無防備だから不安になるのである。書斎も同様で背後に壁があると安心感が得られ集中力が高まる。
ドアに向かい合うように机を配置する
これも壁を背にするのと同じ理由で、書斎が個室なら入り口が視界に入っていると安心できるのである。誰かが入ってくる気配にすぐに気づけるので、一人だけの空間から人と接する空間への気分の切り換えがスムーズにできるだろう。
机の上はすっきりと。必要なものだけ置くようにする
無理なく整理整頓ができるように、必要なものだけを置くようにしたい。何かを始めるときに、まず片付けなくてはならない状態では気が重くなってしまう。雑念の原因となるものはなるべく取り除いておくのがよい。
綺麗な状態を維持するのは大変と思われがちだが、ものを増やさなければ意外と簡単にできる。それには、机の上が住所不定のものたちの集積所にならないように気を付けることが大切だ。
椅子は長時間座っても疲れないものを選ぶ
椅子は、なんといっても使い慣れたものが一番よい。しかし、新たに購入するのなら値段が少々高くても身体にあったものを選んでほしい。
長時間座っても疲れにくく、腰や首に負担がかからないもの。座ったまま高さや角度の調節が簡単にできるか、ヘッドレストやフットレストも確認が必要だし、その材質の見極めも大事だ。蒸れにくいメッシュ、温かみのある布張り、手触りのよい皮革製など、店頭で座ってみてしっくりくるものを選ぼう。
リラックスできる書斎を作るためのポイント
リラックスできる書斎を作るためには外せないポイントがいくつかある。それらをきっちり押さえて、自分に合った空間を演出してほしい。
暖色の照明を選ぶ

照明の角度や置き場所を変えるだけでもリラックス効果は上がる。さらにそれが暖色系だと心もより落ち着くだろう。蛍光灯には「昼白色」「昼光色」「電球色」の3種類があり、購入する場合は「電球色」(オレンジ系の暖色)を選ぼう。
また、部屋全体を1個の照明で照らすよりも、間接照明をいくつか配置して部分照明にするのもよい。ライトを壁に向けて置き、観葉植物の下から照らすなど、手持ちの照明器具が役に立つかもしれない。
背の低い家具を選ぶ
書斎にあまりスペースをさけない環境では、背の低い家具でまとめると空間を広く感じられる。書籍や蒐集品が多い場合は壁一面に棚を作ってしまおう。床から天井まで届く大容量の棚でも、作り付けなら安定していて壁の一部のようになるので圧迫感を抑えられる。
観葉植物を置く

森林浴では樹木から発散されるフィトンチッドという物質が大脳皮質を活性化させるため、自律神経が安定し、精神をリラックスさせるといわれている。フィトンチッドは観葉植物からも出ているので、書斎に置くことでリラックス効果が期待できる。
書斎におすすめなのは、空気清浄効果のあるサンスベリア、日陰にも置けるアンスリウム、天井からハンギングしやすいアイビーなど。
アロマ・お香を焚く
香りにリラックス効果があることはアロマ好きの人なら体験済みだろう。嗅覚は大脳視床下部へ直接働きかけるので、自律神経やホルモンバランスを整えることができるとされ、心と身体がほぐれてゆく。好きな香りでなくては効果が期待できないので、お気に入りのアロマやお香を焚いてリラックスしよう。
落ち着いた色合いで部屋をまとめる
リラックス効果が高いのは自然に近い色だといわれている。たとえば、水をイメージした爽やかなブルー。それも原色ではなくグレーがかったスモーキートーンがおすすめだ。
壁をソフトなブルー系にして、家具は温かみのあるウッドに、さらに、観葉植物のグリーンやメタルの小物をアクセントにすると調和がとれるだろう。
「机上の幾山河」という有名作家の言葉があるように、もしかすると書斎で過ごす時間は一生のうちの大きな割合を占めるかもしれない。集中力やリラックス効果を高めるためのさまざまな方法を紹介したが、もっとも大切なのはそれらの方法が自分に合っているか? 気に入っているか?ということである。ぜひ自分流の書斎を見つけてほしい。