ひとり旅をすると、誰しも心細さや不安を感じてしまうものだ。ひとり旅が初めての人はもちろん、行き慣れている人でも不意に孤独を感じることがあるだろう。
そんなときは著名人による旅の名言に触れてみて欲しい。旅の意義に気づいて心が豊かになり、旅に対する不安も吹き飛ぶかもしれない。
ひとり旅の際に思い返したい、旅の名言

何千年も前から人は旅をしてきた。世に知られる著名人も旅をし、そして名言と呼ばれる言葉を残している。英語から日本語まで短いながらも勇気をくれ、旅の意義を教えてくれる名言を厳選した。
「世界は1冊の本だ。旅をしない人々は本を1ページしか読んでいないのと一緒だ」(アウグスティヌス)
アウレリウス・アウグスティヌスは、古代キリスト教の神学者であり、哲学者だ。中世最大の教父といわれ、ローマ=カトリック教会の理念を確立させた、キリスト教にとって重要な人物である。
そんな彼が残したこの言葉は、旅の目的を考えさせてくれる名言だ。いかに旅に出ないことがもったいないことなのかに気づかされるだろう。ページをめくることができるのは、自分自身だけだ。世界を巡り、さまざまな体験をすることで、本のページを増やすことができる。増やせば増やすほどその本は厚みを増し、自分にとってかけがえのない財産になることだろう。
「危険を冒せ。人生はすべてチャンスだ」(カーネギー)
デール・カーネギーは、アメリカの作家兼教師で、自己開発・セールス・対人スキルなど各種コースの開発者である。代表的な著書で、ベストセラーの『人を動かす』では、他者をいかに動かすかについて述べている。
そんなカーネギーが残したのが、挑戦する背中を押してくれる名言だ。英語では「Take a chance! All life is a chance.」といい、ゴロがよく覚えやすいので英語で記憶しておくのもおすすめだ。
この名言は「一番遠くまでたどり着く者は、大胆に行動する意欲のある人間だ。」と続き、挑戦すること自体に勇気を与えてくれる。一人旅に出るには勇気が必要だが、その一歩が大きなチャンスにつながることもあるのだ。チャンスを捉えて、冒険への一歩を踏み出そう。
「あちこち旅をしてまわっても、自分から逃げることはできない」(ヘミングウェイ)

『老人と海』、『誰がために鐘は鳴る』などの名作を残したアーネスト・ヘミングウェイは、20世紀に活躍したアメリカの作家だ。アメリカ的な生き方を描いた彼の小説は、ハードボイルド・スタイル小説の礎ともなっている。
これから旅に出ようとしている人には、一見逆効果に見えるこちらの名言。しかしこれは、旅をすることに意味がないといっているのではない。旅をして新しいものに触れ、気づきを得たら、それを自分へと還元することが大切だと教えてくれているのである。まさに自分を見つめ直させてくれる名言だ。
ひとり旅では、自分と向き合う時間がたっぷりある。だからこそ自分を見つめ直すために旅に出てみよう。
「旅というものは、時間の中に純粋に身を委ねることだ」(福永武彦)
福永武彦は大正時代から昭和時代の小説家兼詩人。フランス文学研究者としても活躍した。著書には『草の花』や『忘却の河』があり、どの作品も愛と孤独について深く考えさせられるような内容だ。
そんな彼が残したこちらの言葉は、時間を忘れて旅することの意味を問う名言だろう。時間に管理されることから解放されることが本来の旅の醍醐味なのだ、と感じさせてくれる。最近は細かく日程が決められた旅行会社のプランもあるが、本来、旅は自分の意志で自由に時間を使えるものであるはずだ。ときには自然に身を任せ、時間を忘れるような旅に出てみてもいいのかもしれない。
「孤独という切符を買ってでも、自由な旅人でいたい」(戸川昌子)
戸川昌子は日本のシャンソン歌手であり、推理小説家だ。伊藤忠商事に勤務し、シャンソン歌手へと転向、さらに『大いなる幻影』という推理小説を執筆し、江戸川乱歩賞を受賞した経歴を持つ。
実にさまざまな顔を持つ彼女が残したこちらの名言。まさに今からひとり旅に出る人に捧げたい、旅をすすめる名言だ。ひとり旅は孤独で寂しいというイメージがつきがちだが、それ以上に自由を得ることができる。自分の好きなものを見て、好きなことに触れられる。相手に合わせる必要はない。自由や孤独を経験することで、本当に自分が欲しいものを見つけられることだろう。
「旅の過程にこそ価値がある」(ジョブズ)

アップル社の共同設立者のひとりであるスティーブ・ジョブズ。彼が開発に関わり、今なお世界中で大ヒットしているiPhoneを知らない人はいないだろう。
そんな彼の残した言葉は、旅の困難を勇気づけてくれる名言だ。旅で大切なことは目的の達成や成果だけではないことを教えてくれる。目的地にたどり着くまでのさまざまな困難や経験が、魅力的な旅を作ってくれるのだ。
「旅は私にとって、精神の若返りの泉である」(アンデルセン)
アンデルセンはデンマークの童話作家だ。『マッチ売りの少女』『みにくいアヒルの子』『裸の王様』など、世界中の誰もが知っている童話を多数残している。
そんな彼の名言は、旅の意義を教えてくれている。旅に出ると、人や素敵な景色との出会いによってワクワクしたり、心を揺り動かされたりすることだろう。そうした発見や感動は脳を刺激し、気分をリフレッシュさせてくれる。これが、アンデルセンのいう精神の若返りなのだろう。旅へのワクワクは、日常生活のスパイスとして欠かせないのである。
ひとり旅で心細さや不安を感じたら、ぜひこれらの名言を思い出してほしい。きっと心が安らぎ、満足のいく旅にすることができるはずだ。