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日本の伝統的な調味料のひとつに醤油がある。現在のようなたまり醤油が使われるようになる前は、「醤(ひしお)」なるものが調味料として使われていた。
この醤にはいくつか種類があるが、現在まで製造が続いているものに「魚醤」がある。魚醤といえば、タイ料理で使われるナンプラーを思い浮かべる人が多いかもしれないが、実は日本においても魚醤は古くから生産されており、日本古来の調味料として現在まで作られてきた。
現在、日本には三大魚醤があり、個性豊かな味わいを楽しむことができる。ここでは日本伝統の発酵調味料である、国産の魚醤の魅力を紹介しよう。
●長い歴史を持つ調味料・魚醤

魚醤は現在、主に東南アジアを中心に調味料として使われている。
▷魚醤とは
簡単にいえば魚を使って作る醤油の一種。生の魚を塩で漬け込んで発酵させ、発酵が進むと漬け込んだ魚から液体が出てくる。これを集めることで、発酵調味料の魚醤となるのだ。
濃厚な旨味と独特の香りが特徴で、これは魚の内臓や身の部分の酵素がたんぱく質を分解することで、アミノ酸やペプチドが発生するから。大豆を使った醤油の場合、グルタミン酸が旨味の基となるが、魚醤はリジンやアルギニン酸などが含まれていることから、より深い旨味を感じることができる。
魚醤は現在、東南アジアを中心に製造されているが、ヨーロッパにおいては古代ローマ時代に「ガルム」と呼ばれる魚醤があったようだ。イタリアの一部の地域では現在も魚醤の特産地があり、世界規模でみても歴史を持つ調味料のひとつといえる。
▷日本における魚醤
日本において、初めて魚醤が文献に出てきたのは平安時代。927年の『延喜式』に「鯛醤」や「鯖醤」といった記載があり、この頃にはすでに一般的な調味料として使われていたことがわかる。魚を塩漬けして発酵させることは、古くは弥生時代にはあったとされているが、醤の製造が大陸から伝わることで、広く生産されるようになったようだ。
魚醤は「醤」の一種で、醤には穀物を塩漬けした「穀醤(こくびしお)」や果物や野菜を塩漬けした「草醤(くさびしお)」などが存在していた。この穀醤はやがて、大豆を使った醤油の原型となっていく。
室町時代になると、「しょうゆ」が作られるようになり、大坂や京都といった上方で醤油の生産が盛んになっていった。そうして、醤油が登場することで、かつて使われていた醤は廃れていく。魚醤に関しても、一部の地域を除いて使われなくなっていったのだ。
ただ、物流や鮮魚の保存方法が限られる時代においては、魚を塩漬けにして発酵させることはスタンダードな保存方法のひとつだった。そのため、漁業が盛んな地域においては、魚醤が調味料として残っていったことが考えられる。また、大豆を使った醤油は高価だったため、手作りできる魚醤が重宝されたという側面もあるだろう。
●世界に誇る日本三大魚醤

日本で現在まで生産されている魚醤のなかでも、日本三大魚醤と呼ばれる3つの魚醤がある。
▷しょっつる(秋田県)
秋田県の特産品。県魚でもあるハタハタを塩に漬け込み、一年以上熟成させて作る。江戸時代以降、秋田県沿岸部では、大量に水揚げされる安い魚を使い、各家庭でしょっつるを仕込んでいたという。
ハタハタだけでなく、イワシやコウナゴが使われていたらしい。作り方もさまざまで、魚と塩だけを使う家や、魚と塩と麹で作る家があったようだ。
しょっつるは旨味成分のグルタミン酸のほか、甘み成分のアラニンが多く含まれている。
▷いしる(石川県)
能登地方に伝わる魚醤で、少なくとも1700年代には作られていたとされ、イカやイワシといった魚介類を塩漬けし、1年以上熟成させて作る。魚介類由来の旨味成分が豊富に含まれており、かつおだしやこんぶだしとは違った風味を味わうことができる。
各地の事業者が生産を行っているため、スーパーマーケットで購入できる身近な存在。石川県の特産で、地域によって個性が異なるのも魅力だ。
▷いかなご醤油(香川県)
瀬戸内でとれるイカナゴを原料とし、最低3ヶ月以上の間、発酵・熟成させて作る。昭和30年代に入ってからは製造者が減り、現在は小豆島でわずかに製造されるのみ。旨味が強い一方で、まろやかさが特徴。
●魚醤の味わい方

日本三大魚醤は、魚醤ならではの独特の風味と旨味の強さがある。塩分が強いため使いすぎは良くないが、上手に使えばふだんの食事の楽しみの幅を広げてくれるはずだ。
しょっつるは、郷土料理である「しょっつる鍋」に使われるほか、大きな貝殻を使った「しょっつる貝焼き」に使われる。ハタハタがあれば良いが、なくても好きな具材を入れてしょっつるを入れればしょっつる鍋となる。
いしるは、煮物などの隠し味や漬物のつけ汁に使うのがおすすめ。大根とイカを煮る際に使うと、いしるの旨味を堪能できるはずだ。鶏肉とそ菜の炒め物の仕上げに使うのも良い。
いかなご醤油は生産が少なく、いかなご醤油を使った特別な郷土料理もないようだ。ただ、魚醤独特のクセがありながらも、刺身や豆腐といった淡白なものに使えるので、手に入れておいて損はないだろう。
魚醤は匂いが強いため、初めて魚醤は食べる際には、使う量に注意しよう。塩分も多いので、まずは少量を使ってから、慣れてきた頃に調整していくのがおすすめだ。
国産の魚醤はインターネットで購入することもできるが、現地まで足を運んで味わってみるのも良い。歴史と発酵が生み出すひと味違った味わいを、ぜひ堪能してほしい。
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